9/10/2014

KICKSTARTED MAGAZINES AND AFTER THAT...




 まだまだ面白いプロジェクトが立ち上がり続けているクラウドファンディングサイトKICKSTARTER、ついこの間はただポテトサラダを作りたいから10ドル集めたい、というなんともユーモアあるプロジェクトに5万ドル(!)が集まった。
 日本では文化的背景もあってかCAMP FIREなどでもなかなか成功したプロジェクトは見かけないけど、ここ数年海外の本屋さんではKICKSTARTERでファンドレイズに成功して出版された雑誌をよく見かけるようになった。



 UKのManchesterで生まれたinternという雑誌は名前の通り、インターンシップによるインターンシップのための雑誌。アメリカでは労働法に違反したとしてあのVOGUEのConde Nast(今ではインターンシップ制度を廃止した)やHarper's Bazaarが元インターンから訴訟を起こされたりと何かと話題のこの無休労働問題に対して、若くて才能のあるインターンやその経験者が自らデザインやインタビューをして主にクリエイティブ業界のこの風習を取り上げる、という強いコンセプト。

 そのコンセプトのユニークさ明確さもあって7000ポンドレイズしたものの、創刊号は2000部ほどしかプリントしなかったらしく、2013年の8月に出版されたものが
なかなか日本で手に入らずロンドンでゲットして来ました。この雑誌を見て、読んでいるともうフルタイムで働いていてもインターンとして無休で働いていても実力や才能には変わりはない、というのと、ただインターンシップに反対というよりかは、意外とインタビューされている人達がインターンを通してすごく勉強になったという話が多くて内容も学生の私にとっては興味深い。



 ファウンダーのAlec DudsonはKICKSTARTERでファンドレイズに成功した時にはビジネスプランなど全く考えていなかったとか。このプロジェクトは元々お金を集めるというよりは情熱ではじめたものであり、その後プロのビジネスアドバイザーに助けを求めたりしたが、まだまだ経済面での問題はあり、自分へのフルタイム分のお給料は払えても全ての貢献者(創刊号は41人)に十分なお給料を払うまでには達せていないらしい。

 一方アメリカ、New Yorkでは同じくKICKSTARTERで$40,000以上のファンドレイズに成功して出版されたCHERRY BOMBEのテーマは"women and their love of food" Me magazineのエディター、Claudia WuとphotographerのKerry Diamondという2人がはじめたとてもかわいくておしゃれな雑誌。デザインや紙質にもすごくこだわっていてフォントや写真の統一感、有名人のおばあちゃんのレシピ紹介など焦点もおもしろい!



 しかしこの雑誌も始めた時にはビジネスプランもなく、未だにウェブサイトもちゃんと出来ていない状態。2人によると広告収入とスポンサーのための内容をつくるのがこれからの課題。それでも1万部を売り上げて次号も発売中。まだ読んでいないのだけれど、すごく楽しみ!今後もブランドとコラボしたりインストアイベントなどをやって行くみたい。

 逆に失敗例も。Parisの雑誌、Fashizblackは同じ様にKICKSTARTERではじまった訳だけれども、2013年の12月に9冊目を出して完全オンラインマガジンに移行した。この雑誌は"high-end fashion magazine dedicated to people of African descent"という今までにない内容だったんだけれども、編集長が当時22歳という経験不足、過剰印刷や値段の付け方に問題があったみたい。というのも、もともとニッチ向けの雑誌を値段を高くして自らもっとマイノリティになって行くには嫌だった、とか。

 internもCherry Bombeもどちらもインデペンデントに自分たちの情熱を基にはじまったものだから、創刊号には広告もあまりなく、読者にとっては読み心地も見た目も素晴らしいけど、それじゃ雑誌は続かないのが現実。でも、2つともすごく素敵な雑誌だから是非とも続いて欲しい!

 面白いのは強く人を引きつける内容があれば、自分の雑誌を経験なしにはじめるのも夢ではない、ということ。でもそれを続けて行くにはしっかりとしたプランと特にクリエイティブやファッション業界ではコネが絶対に必要。

 今の時代にあえて紙媒体のメディアをスタートする意味はまだまたあると思うし、やっぱりじっくり読むものは紙がいいからこれからも面白い雑誌が増えていくといいですね!

photos by KICKSTARTER, intern, CHERRY BOMBE
reference from fashionista





6/20/2014

...BUT WITHOUT Wi-Fi, I AM NOTHING.



本を読む時間がない、ということについて。

 最近ふと思った。本を読む時間がない、と。本は買いに行くのにも読むのにも時間がかかるし、持ち運ぶのも面倒くさい。買って満足して読まない本が本棚に何冊あるのやら。反対にiPhoneはいつでもポケットにいれてどこでも欲しい情報だけにアクセスすることが出来る。超便利。テクノロジー最高。kindleだって使えちゃう。

 1991年生まれの私は小学生の時にはもうインターネットを使っていた記憶がある。パソコンだって物心がついたらもう家にあるものだった。中学生で自分のケータイを持って、次にiPodやyoutubeで音楽を聞いたり、同年代がインターネット上で経験したことは一通り全部経験しているまさにデジタルネイティブ。

 でも、ある時点でふと気付く。これでいいのか?この小さなデバイスがいつでも提供してくれる膨大な情報は、日常生活を送って行くのには十分、いや、それ以上の量だけれど、その一つ一つの軽さといったらそれはもうふわっふわのペラッペラ。誰でも投稿できて、どこでも手に入れられるからこそ、汎用性が高い代わりに信頼性も低い。そんなものに本当に生活の根本から頼りに頼りまくっている。そしてそれでも生活は続く。

 逆に本というのはそれをつくるのにも、探して手に取るまでも時間がかかるし、その何百というページ数の中を⌘Fしてキーワードだけ検索してピックアップすることなんて出来ない。読み進めて行くには内容を自分なりに咀嚼して、理解して次に進んで行く必要がある。なんて時間がかかるんだ!ましてや私は自分の読みたい内容の本は大抵英語で書かれていることが多く、言語の壁もある。インターネットなら翻訳機能を使えばなんとなく言っていることは分かるということは結構ある。



 これは本とインターネットだけの話ではなく、LINEのようなコミュニケーションツールにも当てはまる。相手が見ているという前提のもと送られた情報は何の価値もないというか、その前提はすごい誤認識であって、押し付けがましい一方通行のコミュニケーションの取り方。そんなことを言っていてもなんだかんだまた生活は続く。

 同世代はインターネットがある時代しか知らないから、それが当たり前で、その環境の中でそれなりに物知りになることだって簡単だけれど、結局本質的な知識や濃密なコミュニケーションから生まれる人間関係なんていうのはまだインターネットには不可能なんじゃないかと思う。むしろそういったものは簡単に検索すれば得られるものなのではなく、自分から探し求めて勝ち得るものなのではないのかな。それは本を読むという行為からだけでなく、書店に足を運んで本を探す、ということからはじまる気がする。

 でも、インターネットですぐに欲しいものが手に入るというぬるま湯に浸かってボケっとしていると、何に対してでも、それを得る為に回り道して時間がかかるということへの忍耐力がなくなったり、そもそもそれを得ようと一歩踏み出して行動する勇気すらいつの間にか忘れたようにどこかに消え去っていってしまう。結果的には自分が何が欲しいのかも分からないまま気がついたらもういい大人になっている人だって多いんじゃないかな。

 じゃあ何をしたらいいんだろう。そんなこと分かりきっているけど、自分の目で見たもの、その場で感じたものだけを信じていればいいんじゃないのかな。本に書いてあることだけが全てではない。誰かが言ってました。感じる力は感じた量に比例して強くなるって。

...BUT WITHOUT Wi-Fi, I AM NOTHING.